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ITエンジニアに求められる交渉力について解説します。なぜこのスキルが重要とされるのか、どのような場面で求められるのか、そしてスキルアップによって得られるキャリア的な価値もあわせて紹介します。
交渉力とは、関係者と円滑に意思疎通を図るための力です。ITエンジニアの仕事は、一人で完結するものではなく、常に誰かと協力しながら進めていくもの。特にプロジェクトチームに属する場面では、信頼関係の上に成り立つ対話が欠かせません。
上流工程を任されるようになると、社内だけでなく顧客やベンダー、外注先との調整や交渉も発生します。言葉のやり取りが不十分だと認識齟齬が起き、仕様ミスやトラブルにつながることもあります。
なお、ここで求められるのは「話術」ではなく、相手の意図をくみ取り、自分の意見を的確に伝える力です。相手の立場を理解しながら、業務を前に進めるための言葉を交わせること──それが、エンジニアとしての信頼を築く基礎となります。
現場での具体的な状況をもとに、交渉力が求められる場面を整理してみましょう。
要件定義やスケジュール設計の際には、チーム内での意見交換やすり合わせが発生します。トップダウンで決まることばかりではなく、現場メンバーの合意を得ながら最適な方針を組み立てる必要があります。
ここで相互理解が不足していると、認識違いや非現実的な計画になってしまい、後工程に支障をきたす恐れがあります。最初の対話精度が、その後の開発のスムーズさを左右します。
複数のチームが関わる大規模案件では、工程のズレや想定外の事象がつきものです。状況を正しく共有し、どのような対応が必要かを他チームと調整していく過程では、説明力・説得力・共感力が求められます。
特に自チームに不利な変更を依頼する場合などは、背景や意図を丁寧に伝え、合意を形成する必要があります。ここでのやり取りひとつで、相手の協力姿勢にも大きな差が出てきます。
技術者と顧客では、専門用語の理解度や考え方にギャップがあります。その差を埋めるために、相手に応じた言葉選びで丁寧に説明する力が必要です。言葉が通じなければ、良い提案でも伝わりません。
顧客に納得してもらえたとき、初めて信頼関係が築かれ、継続的な関係にもつながります。技術だけでは得られない「選ばれる理由」は、ここに生まれます。
このスキルを伸ばすことで、ITエンジニアとして得られる価値は少なくありません。
顧客の言葉の裏にある「本質的な課題」を読み取れることで、より的確なシステム提案や実装が可能になります。結果として、顧客満足度の向上にも直結します。
プロジェクト全体を俯瞰し、関係者と円滑に連携できる人は、管理職候補としても評価されやすくなります。実際、多くのPMやチームリーダーは「対話力」に長けた人材が担っています。
言語化能力が鍛えられることで、プレゼンやレビューの場面でも説得力のある説明が可能になります。自身のアイデアを通せる場面が増え、成果や信頼にもつながります。
開発スケジュールの調整、チーム内の連携、顧客とのやり取りなど、ITエンジニアの仕事には常に「伝える・聞く・伝わる」力が求められます。交渉力は特別な営業スキルではなく、すべての技術職に必要な“業務遂行力”のひとつ。キャリアを重ねていく中で必ず役立つこの力を、自らの強みとして育てていきましょう。他のスキルとも関連づけて学ぶことが、価値ある成長につながります。
株式会社プライム・ブレインズは、ユーザー企業の視点に立ったITプロジェクト支援やITコンサルティングなどを行っている企業です。
ベンダーに代わり、自らの手でシステムを作り上げられるだけの技術力とビジネス課題解決力を有しており、確かな技術と知見をもとに全体を俯瞰し、幅広い領域・工程でITプロジェクトの成功に貢献しています。